地域の方のご厚意で土地をお借りして、そこにオオムラサキの幼虫の食草である エノキと、成虫が好む樹液が出るクヌギを中心とした雑木を植えることにより、保護以上の自然の回復を図ることを目的として植樹活動をすることになりました。 これからの環境教育は、リサイクルや自然のバランスを保つという観点から、さらに一歩進めて、今まで壊してきた自然をどこまで回復することができるかが問われているのではないかと考えます。
自然は人間が長い間関わってきてバランスがとれてきました。多様でありながらも 複雑に微妙にバランスがとれていることが最も求められるわけです。ヤマセミの会では、県の事業を利用し、個人会員からの寄付を含めて75万円以上の事業として取り組みます。
初の試みに、会員はとても緊張していますが、会員以外の地域の方々のご理解とご 協力を特にお願いしたいと考えております。
むらやま さとる/十日町市立吉田小学校長(ヤマセミの会顧問)
今まで長い間採集された記録がないことから、生息しているらしい場所をイメージし、それらしい場所に的をしぼった。
トンボの図鑑の説明では春一番、まだ残雪があるころに発生すると記載されているため何とか5月中に探さないと一年間先送りになることを心配し、菖蒲高原に最初に探索のため出かけたのが5月19日であった。
生息しているらしい場所を二回程往復し、幸運にもそれらしい飛んでいる姿を2回見掛けたが、カメラと双眼鏡ではなんの役にも立たず、確認できないまま夕暮れになったので引返す。捕虫網を持っていかなかったのが悔やまれた。
2回目は5月29日、今度は捕虫網を忘れずに持った。1回目と同じ場所を探したが、風が強く、そのうちに雨が降りだす悪天候のため失敗。
そして3回目は6月3日、やや風はあったものの天候はまずまず。
先回の場所を探索、往きの時点でそれらしい姿を見かけるが、先に飛んでいってしまって見失ってしまった。
飛び去った方向をくまなく探したが発見できず残念だが引返すことにした。
途中往きに見つけた場所付近で、水際の草の茎に止まろうとしているらしいコサナエのようなトンボが目に入り草ごと上から捕虫網をかぶせた。
網の中でもがいているトンボを良く見ると、コサナエよりやや大きく、細長い尻尾をイトトンボのように、くねくねと折りまげ、コサナエ特有の胸の部分の黄色いL字型の模様がなく、直線上になっているのがわかった。
まぎれもなく、図鑑でしか見たことがなく、頭にやきついている「ムカシトンボ」である。
「ヤッター!」と思わず心の中で叫ぶ。捕虫網から取り出す手がふるえていたのが記憶に新しい。
時刻は6月3日(火)の午後4時30分であった。まさか本当に採集できるとは思ってもいなかったために三角紙を用意していなかったので背中のリュックのポケットにあった「ヤマセミの会の案内文」をたて半分にして三角紙の代用としてあばれるトンボを静かにおさえおもむろに納めた。まさに記念すべきひとときであった。
それから約10分後に、幸いなことにもう一頭の採集に成功、更にもう一頭に会ったが、二頭で充分と判断し、見送った。
夕暮前に帰宅し、急いで村山先生に電話で報告する。学校から帰宅途中の先生は、わざわざ十日町から我が家に直行され確認していただいた。
「岩野さん、やりましたね!」とお祝いの言葉をいただき、まるで子供のように興奮してしまった。
今回の採集の成功で感じたことは、まずムカシトンボの生息場所が自分の描いていたイメージとマッチしたこと、そして、採集し確認するまではあきらめなかった執念が良い結果をもたらしてくれたものと思う。
菖蒲高原にムカシトンボが生息していることがはっきりした現在、この貴重な生き物とその自然環境を大事にしていかねばならないと思う。
来年は是非、会員の皆さんと一緒に探索に行き、生息している自然の姿をみせてやりたい。
いわの みちろう/ヤマセミの会会長
梅雨入り間近の快晴に近い午前中とあって、安定した上昇気流が生じている。ワシタカの仲間が多数出現した。ハチクマ、ノスリ、サシバ、トビとワシタカ三昧であっ た。牧場は草原をなし、ヒバリが盛んに囀る。灌漑用のため池になる荒れた池の底に コチドリが来ていた。わずかな水たまりで水浴びをしていた。路傍には、牧場を切り開いたために入ってきた外来種の植物が多い。セイヨウタンポポ、ヒメスイバ、ヘラオオバコなどはその典型的な植物である。ヒメジョオンがハルジオンに続いて今まさに咲こうとしている。せせらぎにはカワニナがはい、魚が泳いでいる。
ヤマボウシの白がタニウツギのピンクと相まってとても印象的である。また、この近くの沢沿いには、ムカシトンボの成虫が最近確認された。自然が豊かに残っている菖蒲高原も、人が車で入ることにより環境が変わることに は違いない。昔のようにそこに住む人間が自分の生活の糧として山と共存しない限り は…………。
6月 8日(日) | 8:00〜9:30 | 菖蒲高原、ベルハウス駐車場集合 |
7月 6日(日) | 7:00〜11:00 | 植栽地の草刈り、上岡センター集合 |
7月21日(祝) | 8:30〜11:30 | オオムラサキ観察会、上岡センター集合 |
8月10日(日) | 8:00〜11:30 | 菖蒲高原、ベルハウス駐車場集合 |
9月28日(日) | 13:00〜15:00 | 田麦森林公園、就業改善センター集合 |
10月 9日(木) | 19:00〜21:00 | 就業改善センター、文化祭・植樹打ち合わせ |
11月 2日(日) | 8:00〜16:00 | 「オオムラサキの森」植樹、就業改善センター集合 |
12月 7日(日) | 14:00〜16:00 | 朝日池、就業改善センター集合 |
3月15日(日) | 14:00〜16:00 | 大平・岡、就業改善センター集合 |
last modified 14-Dec-97